やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

地獄の話

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ここ数ヶ月、半年くらいだろうか。

家にいる時間が長くなってきて、音楽を聴く時間も多いのだが、ラジオをよく聴くようになった。大体は、リアルタイムより放送後のタイムシフトのようなものや、配信されているものを聞く。

お笑い芸人のラジオも好きだし、歌手のラジオ、それから好きなアイドル、声優のラジオ。音波の向こうの誰かに向けた声と、それぞれの思うこと考えること、あったことを訥々と話しているのをおもしろいな、と思うのだ。中には、思いがけない引き出しが自分に増える瞬間があったり、自分の考えることが重なったり、たまたま何か近しさを感じる話題があったり。

純粋なおもしろさで声を上げて笑うことも多い。中でも、私はやっぱり何でもない日常なことを話してくれるものが好きだと思う。

 

自分が部屋に音があることに安心するのは言わずもがな。画面の向こう、携帯の向こう、そこで誰かが話していることをBGMにして、生活を整える。誰かに見られているような、そういう安心感を求めているところが私にはあるのだ。

リアルタイムではないから、すでにそれは過去の電波に乗った、遠いものなのだけれど、今、それを聞いている私はそこにいる。毎週毎週更新されていく中で、向こう側にいる人がどれほどのことを覚えているのかはわからない。でも、その人にも忘れられないこともあるだろうし、私だって忘れてしまうこともあるだろうから、それはいいか、と声に耳を傾ける。

 

つい先週、星野源オールナイトニッポンに、わしゃがなTVというYouTubeチャンネルを開設している声優の中村悠一氏と、マフィア梶田氏がゲストでやって来た。

星野源は、大学生の時にほぼ住んでいたと言っても過言ではない先輩の家で流れていて、それをきっかけに彼の音楽を聞くようになった。今も普通に好きだし、あ〜この人は今自分の好きなことを心から楽しめるフェーズに入ったんだな、と楽しさの伝わるそれをとても好きだと感じている。

わしゃがなは、なんだかんだで二人のことが好きなので、大人が楽しいことを叶える番組を見ていると心が和んでほっこりする。やっぱり、好きなものを好きだと話す人に惹かれるんだろう。

こりゃ聞くしかありませんわよね〜。と、毎週の日課だし、聞くことにした。

 

その中で、三人が今のネット社会だから不自由なこと、の話をしていた。今だからこそ何かの壁にぶつかって、何もできないと思うことが増えた。でもどこかにそれをぶちやぶれる瞬間、出口はあるのだと、そういう話。

地獄でなぜ悪い」この曲を、梶田さんはわしゃがなでも好きな歌なのだと話していて、私も改めて聞き直すと、当時映画を観に行ったことと、それとは別のものがぼや〜と浮かぶように、そして次第に心を鷲づかみにされる歌だなと改めて思うことになった。

私は、基本的に無い物ねだりだ。

無い物ねだりというか、あるものを肯定できないというか、自分の根っこをきちんとした目で見ることができない。臭いものには蓋をする。臭くないはずなのに、蓋をしがち。それはある意味現実逃避で、色んなことを言い訳に走り回って逃げ回って、自分を見るのが嫌になっているのだろう。

世の中に見たくないものがあるのに、それでもまだ自分のことも見ろですって!?そういう気持ちで蓋を開けたり閉めたりを繰り返しているのが今の状況だ。

どろどろした、どうにもならない奥底。何とでも自分の持っているものと他人の持っているものを比較して、安堵したり、卑屈になったり。みんな持ってるものかもしれないのだけれど、自分が蓋をし続けた結果、私に必要なことは「地獄でなぜ悪い」の精神なのだろう。

さらりと流れたラジオに、私は息苦しさと熱が同時に通った気がした。

 

誕生日から一日遅れて、友人たちから贈り物が届いた。

予告もされていないその中には、私の好物と痩せている私への太れよというメッセージ。それから以前体調を崩した時に送られてきた彼女たちの変顔の写真が低解像度で引き伸ばされたものが底に敷かれていた。

「何も怖くない」友人の手書きの文字に、強すぎるくらいの言葉が綴られていた。でもそう、何も怖くない。私が怖がっていることは、いつか杞憂になる。笑い話になる。だってここはもう地獄。なんとなく、今が人生で一番しんどい時期かな、と思っている。

 

まあきっと、これ以上の地獄もある。

その時も、思い出すといい。こういう日記を書いている自分が、また同じことを思う時もあるだろう。息苦しさと、熱。まだどう扱ったものかと痛さが勝るけれど、今日はエアコンのフィルター掃除したし、自分は機能している。地獄でも、エアコンのフィルター掃除してんだぜ、超偉い。

 

 

追記。この前誕生日に自分のために買った花、やっぱり自分の花の重さに負けて花の根本からグン…と一日経ったら折れていて、私は手を叩いて大爆笑した。世の中なんて、こんなもんよ!