やわらかい

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全頭ブリーチの話

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私が美容院に行くのが好きなのは言わずもがな。

好きだけど髪が短いのでそう頻繁に行くのもな〜と思うのだが、あまりにも最近髪の毛がみっともない気がしていた。そこで、地元に帰ってきてから二度目の美容院にお邪魔した。

幼馴染ののくまちゃんに紹介してもらった美容院である。

 

私は髪の毛と足元がキマってれば大体容姿の70%はイケてる見た目になるでしょ!という謎の理論を持っているので、髪は整ってる方がいいと思い込んでいる。

初めて行った時、あまりのオシャレさに腰が引けたが二回目ともなると、堂々としたものである。でもやっぱり、階段の両脇にガラス張りのお店が三階分並んでる建物はオシャレすぎると思う。結局ちょっと階段の前で立ち止まった。

 

担当のお兄さんはどうします〜?と尋ねてくれて、どうしますか〜という感じで毎回美容院に行ってしまう迷惑な客こと、わたくし。

夏になると、汗をかいて前髪が額に擦れるとめちゃくちゃニキビができる。襟足も癖があって、中途半端な長さだと私から見て左側がピンピンに跳ねる。

伸ばすか、切るかの二択。

いや、美容院って大体その二択か……。結論として、ウルフっぽい髪型にしていくということになり、髪はあまり切らない方向で進むことになった。

 

そして問題はカラーリングである。

今まで髪の毛で散々色んなことをしてきたが、唯一やっていないことがあった。

それが全頭ブリーチなのだ。

担当の美容師さんには、初回からマッシュとか…全頭ブリーチとか…と勧められていて、全頭なあ〜!

私は基本的に地黒で、昔は夏に人に会うとどこに行ってきたの?と聞かれるレベルで日焼けしていた。カレーパンマンも顔負けの色だった。

ちなみに、のくまちゃんは色が白い。だから、ハイブリーチをしていても似合いますねえという感じなのだが、私は金髪……マンガだけじゃん、許されるのは…ハイブリーチで地黒はよ…と思っていた。

 

結局、美容師さんに勧められるがまま、全頭ブリーチをすることになった。この辺の流れはあまり覚えていない。美容院にいる時の私は、返事があまりに適当なのだ。

仕事は大丈夫だっけ?と聞かれて、無職なんで!と笑顔で答えたら、最強ですね!の満面の笑みの返答。最強です。

 

前に地方にいた時、担当の美容師さんに髪質がすごくいいから何しても大丈夫!と言われていて、そこは心配をしないことにした。問題は頭皮である。

見かけによらずデリケートな肌質の私は、ちょっとしたことで肌が荒れる。頭皮…いけっかな…。ブリーチはとにかく時間がかかるので、滞在時間が長くなるのも大丈夫かと聞かれて、まあそれより頭皮かなと思いつつ、オッケーサインを出した。

二人がかかりで染められていく髪。

美容院あるあるの、人に見せられない鏡前の姿へとなっていく自分と対峙することができず、タブレットで雑誌を読み漁ることになった。

 

そうこうしているうちに「じゃあ根元いきますね〜」と声をかけられた。

塗られ始める根元部分。

最初はスースーする。ぐらいの気持ちだったのがヒリヒリし始めた。でも全部の根元を塗り終わるまでは耐えたい……ッ!!!歯の隙間からシーシー空気が出そうな感じで食いしばった。めちゃくちゃ痛かった。今すぐにでも無理です!!と叫びたかったが、謎の意地。

痛くなったらすぐ流すからねと言われていたのに、変なドM気質が出た。

 

そして塗り終わったくらいで、お姉さんが「痛くないです?」と聞いた。食い気味に「痛いです」と返して、ギリッと奥歯を噛んだ。流してくれ!早く!ヒリヒリする!シャンプー台、自分で行こか!?

 

ぬるめのお湯で優しく流してもらう。いつも思うんだけど、美容院のシャンプーとかリンスとかって何種類あるの?二回三回くらいなんか頭につかない?この時、話を聞いていないのは、ほぼ私が寝ているからだ。

 

ここからが全頭ブリーチのハイライトになる。

シャンプーを終えて鏡の前に戻った私。

そこに写った自分は、紛れもない実体なのだが、本当に椅子から転げ落ちて倒れ込みたいほど、本当の本当に金髪が、似合っていなかった。

どれくらい似合っていないかというと、化粧をして顔を整えていても、どう頑張ってももう生まれる前から神様に顔を作り変えていただいてよろしいですか?と言いたくなるほどの似合わなさである。

カツラをかぶったかのようなアンバランスさ。いやもう、カツラの方がまだマシ。これ、私の髪から生えた髪か…絶望。そして、後戻りのできなさに大焦りした。

眉毛…これ染めないと…いやこれ…ね?!いや〜こんな…どうしたらいいんですかね…あ〜…あまりの焦りに今までとても静かだった女が急に饒舌になってしまった。

 

このあとどうなるんだっけ!?このまま!?どうすんだっけ?!あ〜最初にお兄さんからちゃんと話聞いとけばよかった。

そんな私に髪のチェックをしに来た担当のお兄さんが言った。

「じゃ、カラー入れていくね」

あ、入る!カラー入るんだ!!そういえばなんかベージュっぽくなるようにとかなんとか言ってた!え!でも大丈夫!?金髪寄りなら無理!

 

この辺りくらいから、何で私は暗中模索状態で美容院にやって来ているんだろうと思い始めた。人生で初めての失敗かもしれない。好きなようにしてくれって言うの、もうやめた方がいいのだろうか。

ベージュってどんな色よ……わからないままカラーが終わった。

 

再び鏡の前に戻ってきたら、病院に来て四時間が経過していた。俺の頭、どないなりましたん?おそるおそる鏡を見たら、思ってたより茶色になっていた。ゲンキンな私は、「お!?大丈夫やんけ?!」と内心咽び泣きたいほど安心していた。やっぱり、美容師ってすんげえ〜〜〜〜!!(ルフィ)

カットに来てくれたお兄さん。安堵が胸がいっぱいになって、ど正直に途中どうなるかと思ってビビりすぎて帰りたくなりました、と言ったら大爆笑された。

 

仕上がりは完璧。

途中経過はマイナス五億点(自分が)だったが、やっぱ美容院てイイネ!!になれたので、本当に一安心のニッコニコである。

次はカラー入れにきてもらって、その次くらいに根元リタッチですかねえ〜。終わる頃にやっとお兄さんの話を真剣に聞くことができた。子どもじゃないんだから、人の話はしっかり聞きなさいという話である。

 

この美容院滞在の間、幼馴染ののくまちゃんと連絡を取っていた。

仕事を定時に上がったのくまちゃんの会社は美容院近くにあるらしく、八時くらいまでおってくれたら晩ごはん食べれるでと言われた。その時、時刻は六時半。いや、一時間半…待てなくはねえけども…。美容院をヒョーイと飛び出した私に、のくまちゃんから「一瞬だけニューヘアみたい」と言われて、クソデカ交差点で待ち合わせした。

金髪の自分を見た時に、眉毛の脱色をどうしているのかと慌てて連絡していたのだ。のくまちゃんは私の頭を見て、

「大丈夫やん」

「一瞬マジでどうなるかと思った」

「わかるわ」

といった内容の話と、楽器教室の間待てるだろみたいなやり取りをして、数分で「ほんじゃ」と解散した。数分すぎてお互いに笑いながら、ほな!という別れ際であった。

 

髪を切ると、すぐに誰かに見せたくなる。その気持ちで出来たてほやほやの自分を見てもらえて満足していたのだろう。

この歳になって、初めての全頭ブリーチ。人生で一番明るい髪色が更新された。悪くない。むしろ、良い。日々髪のダメージはあるなと思うものの、髪が明るくなるだけで着れる服も変わって、やっぱり世界が明るくなったような気がする。

 

余談だが、のくまちゃんはハイブリーチを卒業して私より髪の毛が茶色になっていた。嘘じゃん。

 

写真は引退した競走馬のぬいぐるみを、映画を観る前に取る私です。

次のカラー入れは何色にしようか。できれば、金髪の状態だった時みたいに、焦らないといいなと思っている。