幼馴染がやってきた話
前に書いた幼馴染が、私の家に遊びにやって来た。
彼女こと、のくまちゃんとは20年来の幼馴染である。
今回は彼女が関東にいる友人に会いに来るということで、ついでに私の家に立ち寄ることになった。宿泊先である。
と言っても、前にも書いたことがあるけれど、私はもてなしというものがとても苦手だし、部屋の片付け…とか考えたのだが、結局まあ付き合いも長いし、いっか〜になった。
前日、私はソシャゲのFGOの2部6章を必死に攻略しており、薬を飲んだら気づいたら眠っていた。色々あって、LINEの通知は切っていたのと、目覚ましをつけるのを忘れていた。
事前に、のくまちゃんからは「10時前には着くから」と言われており、パジャマで迎えることになるなと思っていたら、うっかり寝落ちてうっかりアラームをつけ忘れていて、LINEの通知を付け直すことも忘れていた。
普段、薬を飲んでいるため夢は見ない。
無理やり電源を落とす感じに近い。でも、ゲームをやっていたからなのか、ちょうど夢の中で何かに襲われて顔面を握られながら「お前の一族など根絶やしにしてくれる」と言われたところで驚いて飛び起きた。いや、ゲームの影響受けすぎ。
時刻は9:34分。LINEの通知は10件を越えていて、ア゛!!と思ったら、彼女から最寄りの駅に着いたと連絡が届いていた。
ギリギリセーフ。アウト寄りのセーフ。
部屋着に着替えて、サッと掃除機をかけた。昨日の夜風呂掃除とトイレ掃除しといてよかった〜。ゴミ出しは無理でしたけど!と思ったら、のくまちゃんが到着した。
「表参道で朝食のパン買ってくわ〜」と言われていたけど、どんなオシャレさ?と思っていて、彼女を迎え入れるのと入れ互いに、ゴミを捨てに外に出た。戻ってきたら、机の上に買ってきたパンが小袋に詰められて並んでいた。四つ。
多くない!?と思ったら、私がめちゃくちゃ食べるのを知っているので、「丸いのために三つ買ってきた」と笑った。私も笑った。大食漢じゃん、私。
早めに食べた方がいいよ、と言われたクロックムッシュを二人で食べて、予定を考えた。多分明日は天気が悪いから、今日外に出るってどうっすかね。次の日は私も病院の予定があったのをすっかり忘れていたし、そういうことになった。
のくまちゃんは、クロックムッシュを半分食べて、一旦私のベッド(マットレス)に転がった。私は自分の布団に転がられることがあまり好きじゃないが、もう相手がのくまちゃんならどうでもいい。夜行バスで移動してきたから、眠いよーと言いつつ、化粧をして観光することになった。
とりあえず、私の好きなエスプレッソの美味しいカフェに行った。それから目的のパンを買いに…またパンかよと笑いつつ、移動していたら、たまたま目に入ったアクセサリーショップがあった。そこはアクセサリーショップではなくて、指輪が作れるお店だった。店頭に立つお姉さんにいくらでいけるんすか?と聞いたら、いいじゃん!になって、二人で速攻お店に入った。
予定にない指輪作りである。
あらかじめ用意されている土台がしっかりしているお店なので、まあまず失敗はあり得ない。それもわかっていたし、私たちはさくさくと作業を進めた。途中、様子を見にきてくれる店員さんに「お二人すごい早いですね!」と言われて、確かにはえーかもな…と思いつつ初めての体験にキャッキャとした。
行程の中に、指輪を綺麗にするという削りの行程があったのだが、店員のお姉さんに「これが意外としっかり持ってないと指輪がどこかに飛んでいっちゃったりするんで…」と言われていた。へい。と思って作業をしていたら、隣でのくまちゃんが指輪を吹き飛ばした。めちゃくちゃ笑った。
刻印までしてもらえて、大満足である。二人で作った指輪を並べて写真を撮っていたら、匂わせ写真みたいで、それにも二人でワハハとなっていた。本来の目的ではなかったものの、まあ、これぞ旅の醍醐味というやつで。
そのあと、目的のパン屋に行ったら行列だった。整理券が、いる…!?のくまちゃんはこういうとき、判断がとても早い。「明日朝イチでお土産買うついでに来るわ」私は多分起きれないなと思っていたが、「丸いが起きれんかったら一人で行くから大丈夫」超頼もしい〜。好き勝手してくれるのありがて〜。
人混みが二人とも苦手ですぐに疲れてしまう。サーッと観光して、彼女は彼女で夜ご飯を食べに移動して、私は家に帰宅した。
帰宅してからも、基本的に自由である。
大体私の家に来る時、彼女は牛乳を買ってくる。あるよ、と伝える前に買ってくる。減らした分を補充してくれるつもりだからだ。案の定、買ってきた。「牛乳あんで」「私が飲むからな」そういうことである。
私は気になっていた映画の呪詛を、彼女が買ってきてくれた美味しいパンを食べながら見た。布団を出したのに、のくまちゃんはまた私のマットレスで横になっていて、呪詛を見ている横でジャルジャルの更新された動画を見ていた。二重音声である。でも、お互いに集中している先が違うので、気にすることがない。別に、なんでも一緒にしなきゃいけないこともないし、私も「今から呪詛見ます」と宣言していたから、興味があれば一緒に見るだろうし、なけりゃいいわ、という感じ。
自由時間、長。
そろそろ風呂に入りますか…となったが、ここでも事件が起きていた。
私が色々しくじって、シャンプーとリンスのボトルを逆にしていたのである。
そもそもは、リンスだと思って詰め替えたものがシャンプーで、私の風呂場にはシャンプーのボトル×2になっていた。リンスは別のものを買ってきて、詰め替えるのが面倒でそのままでも使えるタイプのキャップがついていたものだし、そこから直で出して使っていた。
でも、客人が来るしね!と思って、昨夜シャンプーを一つのボトルにまとめたら、それがコンディショナーと書かれたボトルの方だった。ずぼらな人間っていうのはね、直らないんですよ。結局どこか脇が甘いもんよ…。
でも、もともとシャンプーが入っていたボトルは洗ったし、まあ、中身も入れ替えましたし。と思っていたら、お風呂をあがったのくまちゃんが「どっちもシャンプーやった」と言ってきた。
あ〜〜〜管の中のね…シャンプーがまだね…もうちょっと出したらリンスになるかも。そう言われた。すまん、と謝ったら自分の持ってきてたリンスあったからと言われた。あったんかい。準備周到ありがとうな!!!!!!
私が入る頃にはリンスに戻ってんとちゃうか?そう言われて、私はお風呂に入って何プッシュかした。結果、半分シャンプー、半分リンスくらいの流動した何かになっていた。お風呂を上がると、どうだったかと聞かれて「亜種に…」と報告したら「リンスインシャンプーか」と言われた。亜種ではない。リンスインシャンプー。でも、リンスではないし、やっぱり亜種だと思った。
なんやかんやで一日目は終わり、二日目の今日、私は当然起きることもできなかった。
のくまちゃんのアラームは多分鳴っていた。それから、家を出る音も聞いた。でも、夢現なので、起きなかった。次に彼女が帰ってくるタイミングで、また運良く目覚めた私に、のくまちゃんはまた朝ごはんを買ってきてくれていた。スタバである。オシャレ〜〜〜。朝から〜!?て感じで、これ、丸いのぶん。渡されたものを見たらカフェラテのショートと、パンが2個あった。またパン多め!!!!!!
入らんかったら別にいいと言われたけど、普通に食べられるので、食べた。
のくまちゃんはカップ麺を買ってきていて、へーと思っていたら、床で何かに割り箸を突き刺していた。何ぞ…と思ったら、一味唐辛子の小瓶だった。嘘じゃん。
のくまちゃんの行動に気を取られていると、私が一生何それ!??!を言い続けなければならないので、もう気付いてたけど何も言うまい…と思った。何をしていても不思議ではない、それが私の幼馴染である。
この一味私の家に置いてくつもりなんだろうなと思ったけど、一応聞いた。答えは、一味ないなら置いていく。じゃあもらいます。
ついでに、彼女は傘も置いて行った。なるべく手ぶらでいたい種族の私たちは、荷物を増やすことを嫌う。そういう種族同士なのに、置いて行った。最近やっとビニール傘一本になったのに……。
そして私は病院に向かって、帰宅するとまた私のベッドで寝転んでいた。またかい。と思ったけれど、そう、これも何も言うまい。好きに過ごしてくれる方が私は気が楽なのである。
それからは、また自由時間。家を出るわけでもなく、互いに好きなように時間を過ごして、私は最寄り駅までのくまちゃんを見送った。
特に何かしたわけじゃない。
でも、やっぱりお別れすると寂しくなるもので、無事に家に着くといーなーと思った。楽しかったかどうかはわからないけど、まあ私はいつもどおりの感じで、のくまちゃんもいつもどおりだった。それでいいし、こんな感じがいいんだよなと思った。
のくまちゃんが帰ってから、私はまたFGOの攻略を始めた。いつもどおり、普段通りのことだ。クリアしたらご飯食べよ…と思っていて、無事にクリアして冷蔵庫を開いたら、のくまちゃんの食べきれなかったクロックムッシュが入っていた。
これも置いて行ったか。ていうか、私も忘れてたし。どうするか悩んで、人の食べさしだけど、食べられるものを捨てるのもなんかだし、別に知らない人の食べさしでもあるまいし。
のくまちゃんの食べかけクロックムッシュは、私の胃袋に収まった。あと、めっちゃ普通にテーブルの上にあったので気づかなかったけどいろはすの一番小さいサイズの水も置いて行ってあった。
そんな二日間の幼馴染との記録でした。