やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

怒ってるのかもしれないという話

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ここ最近、中に入れるインプットと、外に出すアウトプットをうまいバランスでやっていかないとな、と思いつつ、休みの日に色々気になっているものを見たり、調べたり、書いたり、作ったりを繰り返している。

人と話すのは好きなのだけれど、何かをしている時、作業とか。私は本当に喋れなくなる。別に喋らなくてもいいのが作業通話というものなんだと思うんだけれど、人といると人と話してえ〜になってしまうので、たぶんあんまり向いてない。結局、一人でごねごねしている時間が孤独でつらいんだけど、好きなんだと思う。

 

とまあ、そういうことで色々インプットするか〜と思って、今日は、ミッドサマーを見た。

体力のある時に観よう〜と思っていて、いけるんじゃないかな!?と思って観たら、大丈夫だった。ヘレディタリーは観たのだけれど、ミッドサマーはまだで、いつにしようかなと悩んでいたけど、なんとなく今日な気がした。多分今日で正解。

 

日本のホラーは色々な理由があって、あんまり一人の時は見ないことにしている。

日本のホラーと海外のホラー(ミッドサマーに関してはホラーというより少し違うもののような気がしたんだけども)は、文化の概念の違いから、怖いものを「何」として捉えているのかが少し違う気がしていて、私はやはり和製ホラーの方が見ていると、自分の住んでいる国、環境、見慣れたもの、のことを思って嫌な気分になる。起こり得そうで。

 

そうして、ミッドサマー一人鑑賞会は続いた。

一人で割と陰惨な場面とか、どうすることもできないなとわかった瞬間の、鑑賞者としての見守る側に回るか〜となって、割と色んなことを冷静に見ていたら、なんか自分、図太くなったなあとしみじみとした。

主人公ダニーの気持ちもわかる。クリスチャンのダニーへの気持ちもわかる。根本はわからないけど、似たような、そういう状況を思い出すことは可能だった。時々、自分の中にあった嫌な記憶が顔を出したり引っ込めたりしていて、なんていうか、アリ・アスターって、主人公をあなた、私、に置き換えるのが上手いんだよなと思った。怒り、嫉妬、愛情、そのほか人間の持っている諸々。それらの感情が異質な空間に投げ出されることで、むき出しになって、なんならちょっと浄化されていく。

 

言わんでええやん、やらんでええやん、何でそうすんねん、のオンパレードである。でも、人間って渦中にいると大体こうなるだろう。言わなくてもいいこと。でも、理解して欲しくてぽろりとこぼれ落ちるみたいなダニーの言葉や不安そうな態度、傷つけるために準備されてきた怒り。

なんとなく、主人公のダニーはどこに向けることもできなくて、そのうえ、どうしようもない怒りが彼女の中にずっとあったのだろうか。そんなことを見終わってしばらく、考えていた。

 

私は怒ることが得意じゃない。

怒るって体力を使うし、人に対して怒ることを半ば諦めている節がある。それよりもずっと、自分がしてしまったことが取り返しのつかないことで、それが正しかったのかどうかみたいな、そういう不安に苛まされることの方が多いのだ。

怒っていると、段々わからなくなる。ムカつく、腹が立つ、そう思っていた相手に対しての怒りなのか、自分への不甲斐なさへの怒りなのか、その境界線が曖昧になってきて、疲れた。になる。

 

昔、友人に言われたことがある。

もっと怒っていい。怒る権利がある。どうしてそんなに怒らないの!と。私は、私のために私よりも怒っている人がそこにいて、それでいいなと思ってしまった。

 

でも、どうだろう。もしかしたら、自分の中でずっと思っているよりも苛烈な、「怒り」がずっと渦巻いているのかもしれない。ただ、それを発散する方法を知らないだけで、ずっと色んなことに腹が立っているのかもな、となぜかミッドサマーを観て思った。

 

多分そういう映画じゃない。でも、人間の生活の中で起きてしまうどうしようもないことや、抗えなくなってしまうことが起きていく様を見ていたら、なんだか映画の最後を観届けたらスッとした。いや、あんな映画でスッとすな…という話なのだが。

私は、ちょっとだけ、ダニー良かったねと思ってしまったから。ないまぜになった感情が、綺麗に燃えていくような、そういう気持ちになった。

 

最後に怒ったのはいつだろう。ぼんやりと考えた。低めの沸点に触れる瞬間があっても、それはすぐに忘れてしまう。考えると体力を使うからだ。けれど、考え始めたらあれもこれも、それからあのことも腹立つなーと、色々思い出し始めた。

誰かが抱く感情の全ては、その人のものだ。誰にも奪うことも、上書きされることも、許されないと思う。

 

まさかミッドサマーを観てこんな気持ちになるとはね…私はしんなりとした、妙に凪いだ気持ちになっている。