人間図鑑の話
お久しぶりです。
なんとか原稿を脱稿して、今週末のイベントには本が出せそうで安心しています。お日記、久しぶりに帰ってこれて嬉しい。
とはいえ、なんだかんだまだやらなければならないことが残っているような気がするので、やれるところまで頑張るか〜の気持ち。
と、この相反した体。
というのも、昨日は脱稿した嬉しさで何やかんや準備したりフォロワーさんとお話したり、元気にしていたのだが、本当にアドレナリンが出ているだけだったようで、今朝起きたら薬の副作用が起きた。久しぶりのそれに、ウワーッとなった私は前日の自分を悔いるも、時はすでに遅し。
めまい、吐き気、眠気。起きれるわけがなかった。今まで溜め込んできた疲れが解き放たれたのを感じた。
そもそも、自分は何かしら身体のどこかに不調のある人間なのに、どうしてこうもむちゃくちゃを…と思う。でも、体感としてはかなり元気になったはずで、というか割と元気になったと思うのだけれど、心と身体のちぐはぐさにまだ追いつけない。置いていくな、俺を…!!
元来、自分はとても自分のことを元気な人間だと思っていた。
元気、というより人といることが好きで、人に誘われるとどこにでも行きまーすというような、いわゆるフットワークの軽い人間。これは今でも変わらないのだけれど、私は人間のことが多分どちらかというと好きで、それは自分の中にある知らないものを知りたいという欲求に近い。
人間図鑑。パッと書くとかなり趣味の悪い文字面というか、ハンニバル・レクター感が増すのだが。私はそういう図鑑みたいなものを埋めていっているのだと思う。
そう感じている上で、相手も何かしらを思って私に声をかけてくれるなら、まあウィンウィンというか。
でもこれは、なぜか年齢を重ねれば重ねるほど、他人が自分には興味がないことを痛感するようになる。
本当に持ってくれている人もいる。そういう人は後生大事にしますという気持ちになるが、大人…が何かはわからないけど、払うべきお金をこんなに持っていくんですか?我から?と思うほどにむしり取られ、扶養ではなく自立した人間だろう、と判断された瞬間から、新しい「友達」という存在は作りにくくなり、人と人の間に薄い壁が立つ。
私は、多分この薄い壁に耐えられなかったのだろうと思う。建前、本音、こう話すべき場面、丸く丸く、角を立たせない。
責任とか、義務とか、やらなくてはならないこと。私の元気はいつの間にか自分を保つための外側になっていた。
こうして知らない間に沼にハマっていた私は、仕事の休みをもらって、いざ休みましょうとなると、何をしたらいいのかがわからなかった。本当に元気になるためのHPもゼロになっていたのだ。
初めて、人が怖いと思った。大勢の知らない人間の中に立つと、ウワ!と思うようになって、少しだけ知っている人の顔を思い浮かべると涙が出た。人間図鑑コンプを楽しんでいた自分が、こんなことになろうとは。
自分一人がいなくなったところで、社会は回る。それもまた実感した。職場に復帰すると、みんなしっかりしていて、私の出る幕なんてねーな…という気持ちで、前より仕事が楽になっていることに気がついた。それに、私が戻ってきたことを喜んでくれる人たちや声をかけてくれる人たちもいるけれど、それが薄い壁のどれくらいの厚さなのかも結局のところはわからない。
ただそういう言葉が口から出てくる人たちは、優しい人なんだなと思う。ありがたさもあるし、また怖いなと思う気持ちもある。
ある言葉で、「人格の形成は三歳までにできあがる」というものがある。
三歳までに何が!?と今になって三年の月日を思うと、そんなのは秒ですわよ、秒。と思うし、それが全てとは思わないけれど、でもこの性格で何十年も生きてきた。正直、これを違う方向に持って行くのはかなり難しい。
こういう考え方があるんだなに救われることはあっても、自分がそれを覚えているだけで、変わることはできないな、というのが私の正直なところだ。
丸々二ヶ月ほど仕事を休んで、元気をあるていど回復した私は、自分のことをそこそこ元気と思うようにしている。それでもまだ体調の管理に失敗することはあるし、人間図鑑は自分のページが一番多くて、一番埋めるのが大変なのを実感している。
元気になるためには体力がいる。
自分には多分HPゲージが二重にあって、一段階目のHPゲージが剥がれ落ちると、あとはHPがゼロになるまでの体力しかないのだと知った。
楽しいことだけ考えて生きていこうにも限界がある。正直。めちゃくちゃ暗い話だな…と思うけど、楽しいことをするためにはしんどいこともあって、それは半々の分量で人間の人生に与えられている。
ともあれ、これだけ自分は自分としてしんどいなあと思うようなことを経験したのだから、次は楽しいことが待っているんでしょう、とベッドに転がりながら、期待も半々。
久しぶりのお日記でした。
明日はいいことがあるといい。いいことがありすぎても怖いので、まあいいことの分量が少し勝つといいなくらいの気持ちで。