やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

作ることの話

天気が悪いなぁと思ったら台風か〜と思い、日曜日はイベントなので晴れるといいなと思う今日。

 

そう、今週末。明後日はイベントの日なのである。

そもそも、自分が初めてイベントに出て本を作ったのは…三…年前…今時間を反芻してアワ…となったのだが、二次創作ジャンルで、友人と合同誌としてイラスト本を作った。

その後も合同誌2冊目と、個人誌を1冊、そのジャンルでは作ることになって、熱量…!と自分の色々に驚いたものだった。当然ながら、何かを作るなんていうのは、美大で制作をしていること以来で、作ってんな〜と当たり前のような感想を抱いていた。

 

元々、自分は何か元になるもの、思考の対象になるもの、出来事がないとものが作れない人間だと思っていて、それは今もあまり変わらない。自分の中から出てきたものというより、何かを見たり、誰かと交わした言葉や見た風景、そういうものから自分なりの考え方のようなものが広がる。それってもう、自分のものではないの?と思われることもありそうだけれど、私の中では混ざり合ってできた自分、みたいな感覚が強くて、これが自分ひとりのもの、と思うことがあまりできない。

 

大学生の頃、何も作っていない、もしくは作れなくなった自分は存在価値がないと思っていた。何だろうね、あの恐ろしい思考回路はね…。と、今になって思うものの、それは今もあまり変わらない気がしている。

仕事に行って、帰ってきて、生活のことをして、これでいいのか?の大きな疑問。私の中に培われてしまった、何もしていない自分に存在価値がない、の観念は根強い。この、根っこ、次また春が来たら花が満開になるわ〜の気持ち。

 

自分に存在価値がないような気がしたのは、この輪の中にいたい、この人と話ができる人間でいたい。そういう場所や人への憧れが強かったのだろう。特に、美術なんて界隈は狭い世界で、人との繋がりが何かを結ぶ瞬間は多くある。そこから離れたくない、見放されたくはない。そういう感情。多分、この感情がある以上、なんとなく私は義務感から作品を使ってしまいそうで、そうなってしまった人は、作家にはなれないだろうな、とぼんやりと大学院生半ばくらいから思っていた。

それくらいから、じゃあ、好きに作るか。に、意識がシフトしていった。自分が「いい」と感じたものをアウトプットすることで、人との違いを感じることとか、そういう輪の中に同じ思考でいられないことが怖かった。でも、結局自分が「いい」を信じられなかったり、自分が自分の作るものに驚くことができなくなったら、作る意味なんてきっとない。

そう思うと、制作はかなり楽になった。

えらい時間かかったな。という話である。昔から、お世話になっていた助手さん(今でもかなり感謝しているし、私にオシャレである観念を植え付けた恐ろしい人だ)には、嘘をつくなとずっと言われていた。嘘、ついてんのかなあ。半信半疑だったけど、まあ大体自分は嘘をついてものを作っていたのだろう。

話すのにいちいち緊張していた教授や、助手さんのような年上の人たちは、気のいいおじさんとお兄さんになった。なんだ、作品作らなくても普通なんだー。今でもまだ緊張することもあるものの、連絡をするのも話すのも気楽になった。そもそも、相手は人間だった。忘れてた。

 

そうこうしているうちに、自分でファンアートを描いたり、イラストを描いたり、本を出したり、話を描くようになった。

作ることは、大体根本が一緒だなと感じずにはいられない。

悩むこと、できることとやれることのギャップ。自分の思考の行き場、〆切前の狂い具合。体感として、やっぱりまともじゃいられないなと思う。

大学生の頃、友人が講評日近くの締め切り前にに、色んなことが重なって「ちょっと外走ってくる!」とアトリエを飛び出したことがある。私もかなりその時は追い詰められていたので、ほい。という感じで送り出したが、そのあと外から「ウワアアアアアアア!」みたいな断末魔が聞こえてきて、大爆笑をした。大声出してくるとか走ってくるとか、出だしがおかしい。笑っとる場合ちゃう。でも、多分私も疲れていたので、だいぶ元気が出た。人間は、追い詰められると何をするのかわからないの一端の話だ。

 

前回イベント参加したのは、コミティアだった。マンガを描きたかったけど、なんだか無理な気がして、どうしようと悩んだ結果小説にした。ずっと構想というか、書きたいと思っていたもので、それはある意味、私のために書いておきたいものだった。

「何か」に心を惹かれて、やめたくてもやめることができなくて、自分の正しさを疑ったり、誰かに損なわれてしまったり。それでも、誰かを好きになるみたいに、諦められない話。自分じゃ〜ん…とずっと思っていたけれど、話の中で動くキャラクターたちは、思わぬ方向に走ったり、感情を動かしたり、それぞれが生きてるなという人になってくれた。と、思っている。

なんか、書いて良かったな、と感じている。すごく。言葉にするのが難しいのだけれど、本当にそう思う。こういうの久しぶりだな…と制作していた時以来の妙な居心地があった。

 

今回は、とりあえずやってみなければということから、マンガを描いた。とりあえずマンガの定石などは無視をして、俺は描くんじゃ!!の意思を強くして描いた。拙いなりに、もうこれが限界で〜す!!と入稿して、体調を崩した。哀れ。エネルギーの放出は、ジワジワいきましょう。今後の学び。

作りたいとか、描きたいとか。なんでこんなにずっとこんな気持ちを抱えてるんだろうと思う。でもつまるところ、私はそれが好きで、やめられない人間なのだ。

 

こういう自分といつまで付き合うんかね、と今日も無配の絵を描きながら思っている。なんとなく、飽きることはない、と思う。自分に取れる手段が少しずつ増えてきた今だからこそ、やれることを、やってみたいのだろう。

 

やり始めたら、途中で終わらせたくない。今回出す本が、ぜんっぜん描きたいところを描けずに終わって、こんなん私が続き見たいわ!になっている。でも、文章で書く方が早いし伝えられること、私には多いんだよな。

理想と現実のギャップである。

 

 何はともあれ、イベントの日が曇りでもいいので、晴れるといいなと思っている。