お休みが終わった話
詫び菓子を引っ提げて、職場に復帰した。二ヶ月ぶりの職場である。
雨降るならなーと思って傘を持って出たら今全く雨が降ってなくて信じられない気持ちで帰路についている。これなら自転車で出勤したかったな…と思いつつ、明日はそれで可能そうなので、自転車で行けたらいい。
実のところ、昨日は全く眠れなかった。
寝たのは朝の5時過ぎだ。薬の効き目を過ぎて、もう意味がなくなってしまっていた。またこれ先生に怒られるわ〜と思ったけれど、何もしなくてただ寝られない時間が続いた。地獄。
朝も、ぎこちなかった。
とにかく落ち着きがなくて、何をしたらいいんだっけ!?と固まることも度々。結局詫び菓子を忘れて出ようとしたし。
久しぶりの職場は色々変わってた感じで、あんまり変わっていなかった。
PCのアップデートがとにかく止まっていて、それにも時間がかかりそうで後回しにしたけど、たまに映画とかで、昔のパソコンを立ち上げてみましょう…みたいなシーンがあると思う。あんな感じ。
一応、メールは読まないけど開封済みにしていた。それでも、メールの受信画面が数字をいったりきたりしていた。タイムスリップしたパソコンとか電子機器って多分あんな感じで過去と通信することになるのだと思った。
おじいちゃん……そう思いつつ、色んなところを今に追いつくように装備を整えたけど、最大のアップデートは終わっていない。めちゃめちゃ時間かかるんだろうな。
大体の人が「丸いさん!?」「丸ちゃん!」となってくれて、そのたび誰かに声をかけられる生活をしてないなかった私は、心臓が飛び出すんじゃないかと思うほどのビビり具合となった。
大丈夫なの?大丈夫ではない。でも、一時期に比べるとマシ。そこまでは言わないけど、ちょっとずついきます!と言っておいた。そんなに話しかけられないと思っていたから、本当に…?マジでこれが人のあたたかさ…?と初めて人に優しくされたバケモノの気持ちになった。
職場に黒子のバスケで緑間の相棒をしている高尾に性格がよく似た青年がいる。私が勝手に似てると思ってるだけなのだけれど、心優しい青年だ。時々クソガキみたいな時もある。
私が休憩に入るタイミングで、私の詫び菓子をどれが美味しい?と聞いて、丸ちゃんが選んだの食べる。と言うから、好きなの食べなよ。そう笑ったけど、彼なりの私への優しさや気遣いの接し方なんだろうな、と思って、少しだけ背筋がむずがゆかった。
そのあと、階段でフロア移動しようとしたら、「エレベーター!エレベーター乗ろうよ!」と無理やりエレベーターに連れ込まれた。相変わらず変なやつ。と、思った。
そして、同じ部署の先輩(年齢は一つ下)のパイセンという女の子がいる。唯一職場で外に出かけたり、ご飯を食べたり、連絡を取ったりする間柄だ。でも、多分私が休むこととか、色んなことでかなり気を揉ませたと思う。
本人は気にしてないとか、大丈夫とか言うけど、本当に大丈夫じゃないときがある人間からすると、彼女は私に似ているところがあって、たまに泣きそうな顔をしている日があることも知っている。
最初こそぎこちなかったものの、みんなの定時終業後、様子を見に来たパイセンに体調いけてる?と聞かれたので、まあまあ。パイセンは?と聞いたら、そこそこ元気。仕事でフルでいられっかよな。
何をしてた?の話をしてたら、ワンピースの映画観たよ!とパイセンが言った。「えっ、知ってたっけ?」私の記憶が正しければ、パイセンのジャンル外のはずだった。
「全く知らん!でも十割くらい知ってる!」
満点やんけ。
言い間違いで、正しくは一割だった。しかも変なとこばっかり知っている。三十分くらいそういう話をして二人で笑った。なんとなく、ほっとした。
なにか変わったかなと思ったけど、変わったこともあったけれど、それはなんというか、自分の気持ちの方だった。職場は小さな変化はあれど、月日を経ていて、それはやはり巡り巡る同じような毎日の歩みで、組織である以上大きなことは変わらない。
なんか楽に仕事しよ。していいって言われてるし。ずっとここにいないし。
休みが終わったなと思った。
私が色んなことをあれこれと考えたり、思ったり。そういう休みが自分に確かに必要だった。休むのにも元気がいる。休んでる間、私が私としていられる場所のことを考えていた気がする。
でもやっぱり労働は悪。自分で徐々に復帰していきます!と言ったけれど、人にたくさん会って疲れた。
早めの夕飯として休憩でご飯食べたし、お風呂にとっとと入って、ドデカチョコモナカを食べようと心に決意している。