やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

いつまでたっても変わらない話

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ご無沙汰しております。

一日一日記!と意気込んでいたけれどあっという間に一ヶ月が経っている。時の流れって不思議ですね。

というのも、原稿をやっていたり体調を崩していたり色々あった。この一ヶ月、色んなことが起きたりイベントごとがあり、幼馴染と一緒に海外俳優と写真を撮ったり(マッツ・ミケルセンと初めて好きになった海外俳優であるオーランド・ブルーム。夢でも見ているかと思った)、久々の展示搬入作業に参加したり。

そして初めて大学の同期と宿に泊まり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったりしていた。

 

きっかけは数ヶ月前。

三月に同期の結婚式があり、そのあとUSJに遊びに行きたいねという話が上がった。

全員がそれぞれ新しい、結婚、職場、仕事、引っ越しなど様々な転機を迎えて、大人になった今、いざゆかん、テーマパークへ。

LINEグループでは、どういったコーディネートで向かうかという談義がなされ、原稿で携帯をほったらかしにしていたら、知らない間にUSJに行くことになり、宿が決まっていた。音速の速さである。こういうところが大人になったなあと笑えるところだったが、そうこうしているうちにその日はやって来た。

 

メンバーは、私を含めて五人だった。

全員同じ大学を卒業している。一人は私と同じ分野で、私が先に留年をして先輩になったのだが、急にインドに行くと言って休学したマブ。

帰国するなり、私の左手は不浄の手になったと語った友人。

そして残りの三人は他分野。時折この日記にも出てきているバリバリに働いているギャル。そして、知らない間に留年した三月に結婚式を挙げたおっとりとした友人。

最後の一人は、真面目に大学に通っていたにも関わらず、大学院に進学したことにより、母校に一人取り残され、「なんでこうなるねん」とぼやいていた友人。

そして現在無職、時々元気な私である。

 

集合はホテル。まさかの前乗りである。ギャルは妹の結婚式に参加しており、USJ現地集合ということになっていた。

学生時代、なんだかんだずっと仲が良かったけれど、いざお泊まりとなると大抵はマブの家で一度も旅行らしい旅行をしたことがなかった。みんな、制作やら何やらと忙しくしていたからだろう。

夕方に集合。天気は生憎の雨で、ホテルにはマブ、おっとり、私が先に到着して、もう一人の到着を待ってもよかったが、もういいか、になって早々に部屋に上がった。いつものことである。全員が自由で、気兼ねない相手なので、多少のことは気にしない。ちょっと遅れるって言ってたから、さっさと部屋行こうぜ〜。

久しぶりに会ったけど、いつもどおりの調子でエレベーターに乗った。

 

マブは、長年一緒にいるパートナーがいて、三月に会った時、知らない間に結婚式を挙げていた。身内のみのものだ。いつも大体そういうでかい出来事は報告がなく、「エッ!?」となるのだが、見せてもらった写真に映るマブは綺麗で、白無垢がよく似合っていた。

エレベーターに乗っていると、マブが「明日は乗れる乗り物と乗れへん乗り物があると思う」と言うので、はて…と思っていたら「妊娠してん」いや、今!???!??!エレベーターの中だが!??!?!

こういうことである。

おっとりと私はエエ〜と言いつつ、彼女の話を聞くべく腰を構えた。もう一人の遅れている友人を放置して。

 

案の定、存在を忘れていた私たちは、「みんなどこ」という連絡で置き去りにした彼女のことを思い出した。ギャハハ!と笑いつつ、号室を伝えて、現れた彼女を迎えると、笑いが止まらなかった。そして揃った四人。

夕飯は適当でいいよねえと言いつつ、互いの近況をあれやこれやと話し、関西人の宿命なのか、すべらない話をいくつか披露することで、全員がしゃべり疲れて気付いたらもう夜になっていた。喉が痛い。マブと私は人と話すことが実家にいるため早々ない。

かなり働いたな、喉。

 

ベッドを決めるのに、妊婦であるマブは優先的にフカフカになり、誰か一人が簡易ベッドになるベッド争奪戦や、お菓子を買い込みすぎて食べ切れなくなったり、私はiPad持ち込みで原稿をしたり、そうこうしているうちにお風呂に全員が順番に入り出し。

 

遅刻してきた彼女(以下、はーちゃんとする)がお風呂に入り、私、マブ、おっとりになったところで学生時代のイタズラ心が疼いた。

私は人にイタズラをされることも多々あったが、どちらかというと仕掛ける方で、はーちゃんも仕掛けられる方だった。

怖い話をしたあとだったので、はーちゃんをびびらせてえな……そんなことを考えて、ベッドになんか仕込んでおくか、ということになった。

最初ははーちゃんがコンビニで買っていた、絶対食べへんで、と私が忠告したBIGサイズのポテチが候補に上げたが、でかすぎるしすぐバレるだろうということになって、ホテルの室内を漁って、使わなかったコンビニのスプーン(袋入り)をしのばせることにした。

綺麗に整えられたベッドシーツ。隙間からスッと手を差し込み、ちょうど足元くらいに仕込んだ。

 

はーちゃんのあとは私がお風呂に入る算段で、早く入らないとはーちゃんのリアクションを見ることが不可能になる。

お風呂を上がったはーちゃんに「はーちゃんってお風呂上がったらスキンケア時間かかる?」と確認すると、「適当やで。そんなかからへん」急がねばならない。

はーちゃんが洗面所を出て、すぐ入れ替わるようにお風呂に入った。

 

何をそんなにくだらないことで必死に、と思われるだろうが、これは学生の頃からずっとそうなのだ。箸が転がっても面白い。どんなことが起きたって、些細なことだって、急にお腹を抱えて笑えるくらい、楽しくなる。

そういう人たちとの旅行なのだ。

 

そそくさとお風呂を上がると、はーちゃんも支度を終えてベッドに入るところだった。

なぜかわからないが、私の気合いが入りすぎたせいで私の方が先に布団に入っていた。

はーちゃんは「私シーツ全部剥ぐタイプなんよな」と言って、ベッドの上に立ち、シーツをズルズルと持ち上げた。

やばい。期待しているリアクションを見れないまま終わるかもしれない。すでに笑いながら、携帯を構えた私と、寝ていたはずなのに上半身を起こしたマブ、私の隣で携帯を見ながら笑っているおっとり。

そして、布団にもぐったはーちゃんは異変に気がついた。

「えっ、何…?何!??!」

再びベッドの上に立ち上がるはーちゃん。一人のオンステージである。

足元に転がるスプーン(袋入り)。キャキャキャと笑う他の三人。はーちゃんは「何これ!?私から出てきた!??!何でやねん!何してくれてんねん!」と言った後、マブに振り向いた。

「さてはお前!これ見るために体起こしてたな!?」

察しがよろしいようで。

マブは「これ見てからじゃないと寝れへんと思って」と言い、その返しにはーちゃんは布団に撃沈した。

 

ゲッゲッと悪魔のように笑う私が犯人だと察したはーちゃんは、どうやってこのピッタリと整えられたベッドメイキングからスプーン(袋入り)を突っ込んだのかを問うてきた。

「えっ?隙間から。こう、ヌルッて」

「キモ!!!」

短い罵りに私はまたお腹が痛くなるくらい笑った。

 

私は、不眠症を患っている人間なので、結局どうしても一番最後に寝ることになる。みんながいびきをかいたり、寝言を言ったり、ありえないほどの回数の寝返りを打つシーツの音を聞きながら、楽しいなと瞼を閉じていた。

学生の頃に戻ったようだった。いつでも私たちは、子どものように楽しいことができる。幸せだなと思いながら、私の身体の電源は知らぬ間に落ちた。

 

翌朝、ホテルの朝食を食べたいとマブが言い出し、私は朝は頭がほぼほぼ回っていないので、部屋でぼーっとしてる、と言って、三人を見送った。部屋でぼんやりとコーヒーを飲みながら、ほっと息をついて、昔なら、絶対私も行く!!!!と思っていたところを、一歩引いている自分に少し驚いていた。

でもたぶん、私はきっと元々そういう人間だったのだ。私が気付いていなかっただけで、自由にしていいよと何を言われるわけでもなく、心を許した人たちには、ずっと。

 

ホテルにはUSJ直通のバスがあった。それも知らず、段取りを整えてくれていたマブに感謝しつつ、着いたテーマパークは実に十年近くぶりだった。こんなのばっかりだな…。

生憎の天気ということもあって、人はほどほど。私たちは急ぐ旅でもなし、ということでのんびりとパークを楽しむことにした。何せ、妊婦もいるし。

 

はーちゃんはUSJの年パスを持っているプロである。

全ては彼女に任せれば問題なし。淀みない足取りに私たちはついて行けばよく、待ち時間の少ないものから乗っていくことになった。最初は私がどうしても!ということでハリーポッターに行くことになり、早速そこでニフラーのぬいぐるみを購入し、私はウハウハであった。

ちなみに、全員、カチューシャ、帽子を購入。

私はクッキーモンスターのカチューシャが良かったのだが、いいものがなく、第二の推し、オラフでコーデを決めた。

会うスタッフの人たちに、完璧ですね!お似合いです!などと言われ、アザス!!と手を合わせて合掌した。

 

USJは、もはや私の知っているUSJではなかった。

名探偵コナン、呪術廻戦、スパイファミリー、進撃の巨人。こんな感じなんか…とたまたま入ったフードのお店に七海建人のカスクートセットがあって目ん玉を剥いた。映画の世界はいずこへ。名探偵コナンのみのグッズブースなどもあり、安室さんと赤井のカチューシャを見て意味がわからないほど笑うことになった。

のんびりと乗り物を楽しみつつ、適度に休憩もしつつ、私はフシギダネのフロートが欲しい〜と一人売店に並んだり、マブが眠いので一寝入りするのを見守ったり、とにかく自由でのんびりしていた。

そして、ギャルの合流。

 

ギャルは白のセットアップ(下は半ズボン)に、ルーズソックス、派手なスニーカーで現れた。あまりの最高さに手を叩いて喜んだ。気合いの入り方が並大抵ではなく、いかにこの日を楽しみにしていたかということが伝わる見た目であった。

やるならとことん。楽しむなら心の底から。でも、このメンバーなら間違いなく何でも楽しい。私たちの目的は、テーマパークを楽しむことではなかったのだと思う。

この人たちといれば、絶対に楽しい。その確信だけで集まっていた。

 

結局、私たちは閉園まで存分にUSJを楽しんだ。任天堂のエリアで記念に撮ろうと言った写真は、そこに行き着くまでと撮った後も色々あって、全員が泣くほど笑った。

普通はきっと、マリオカートのアトラクションに乗るのだろう。でも、ギャルが「イッツアスモールワールドみたいなん、ないん?」と言ったことから、ただただ任天堂エリアを見渡せるヨッシーの乗り物にのることになった。これやん、ユニバのイッツアスモールワールド。

二人乗りで、一人があぶれることとなり、私たちはジャンケンを正義にしているため、ギャルが一人で乗ることになった。

私はマブと一緒に乗って、よくわからない同じ色の卵を見つけたらボタンを押してね!という本当に子供向けなのだろうという遊びに興じた。

マブはボタンが感知をしてくれないせいで、光らへん…指紋薄いからかな…と小さい声でぶつぶつ言っていた。笑う私。後ろから手を振るギャル、そして動画を撮っているはーちゃんとおっとり。すっかり夜になったテーマパークは、少しだけ肌寒かった。

 

どうしてなのだろう。

何歳になっても、この人たちといると、私は大学生の時のままの自分になってしまう。彼女たちに何かをしてあげられたことはないし、ただ一緒にいて、多分、学生の頃も同じように楽しいことをした。

それだけのことなのに、今も昔もずっと「楽しい」が続いているのだ。

 

私たちの別れ際はさっぱりしている。

またすぐに会えることを知っているからだ。私とギャルは地元が近くで、同じ電車に乗って帰ることになった。全員が散り散りになって、じゃーねーと明るい明るい、さよなら。

次はみんなと何ができるだろうな、そんなことを思いつつ、それよりも先にマブの出産かなあ、と思った。

 

翌日、USJのアトラクションのスパイダーマンターミネーター、それからバックドラフトが終わるというニュースが入った。

どうなるんだろう、USJ。もう私の知ってるUSJじゃなかったのに。また行くのだろうか。

このメンバーだったら、行ってもいいな。

 

これは、私が私でいられる、ありがたい一つの場所についての話だ。