冬瓜の話
明日から二ヶ月の職場の休職を経て復帰する。とりあえず、週三日から。勤務も昼から。
私の希望の通りに進めようと言ってくれた会社にはとても感謝をしているのだけれど、人間は働きすぎなので全員週三日でいいと思う。
どれだけ自分に大丈夫大丈夫と言い聞かせても不安は不安で、これが俺…!と思いながら一日を過ごした。起きるのにも失敗したというか、起きたり寝たりを繰り返して、本当に明日から仕事…?の気分。ジャンプ+でBLEACHを一気読みできると知って、そこぐらいからゆっくり覚醒した。
数日前に冬瓜を買った。冬瓜がある!とスーパーで嬉々として購入したわけだけど、料理をする気分にならなかったり、友人と出かけたりで調理を後回しにしていた。
私は冬瓜がとても好きだ。
祖母がいつだったかに作ってくれてから、私の好きな料理の一つに冬瓜と挽肉の煮物が増えた。挽肉料理も好きである。挽肉が使われている料理は大体好きだ。一人暮らしだけど、どうしても餃子が食べたくなる時があって、そんな時はせっせと餃子を包む。なぜなら、挽肉が好きだから。
祖母にレシピを聞いてもよかったけれど、とりあえずクックパッド先生で検索をかけて料理を始めた。初めて触る野菜はあまり好きじゃない。なぜなら、処理の仕方が不慣れで時間がかかるから。
かぼちゃくらいのもんかと思って種をくり抜いていたら、思いの外種が深いところまであって、フン!と力を入れたら種がキッチンに飛び散った。やってらんね〜〜〜心が挫けそうになった。
こういう日は簡単なことで心が挫けそうになる。でも、冬瓜の煮物の美味しさを知っている私は挫けない。飛び散った種を拾って、くそ…と悔しさを感じつつ調理を続けた。
出来上がった料理はとにかくすぐに食べたい。
これを話すと、なんで!?と驚いた友人に、いや、だってすぐ食べたくて…としか答えられなかった。30分漬けておきましょうとか、そういう調理方法が守れない。だってすぐ作ってすぐ食べたい。
でも、最近知った。これを守ると、めちゃくちゃ料理が美味しく仕上がるということを。驚いた。美味しくて。
冬瓜が柔らかくなるまで煮てください。
レシピにはそう書いてあって、私は何回も箸を刺した。自分で何分まで煮ると決めたのに。こと、料理に関することとなると私はおそろしいほどせっかちになる。はやく柔らかくなれ…………。それでも、以前住んでいた家はレベル3くらいのIHコンロだったので、今はガスだし、そんなに時間はかからない。そこには感謝している。二口だし。今。
料理のいいところは、無心になれることだ。
作ってる間、割と早く食べたいの気持ちで暴れそうにはなっているけれど、ゲームの育成みたいに平行してやるべきことを組み立てて、最短ルートで育成を完了させる筋道を立てるような感じに似ている。
結果、今日は野菜たっぷりの味噌汁、大根とキャベツと塩昆布のナムル、冬瓜の煮物ができた。緊張とか色々で、そんなにお腹減ってないかもと思ったけれど、早く食べてえ…になっているかぎり、そんなことはなかった。普通に食べた。
柔らかくなるまでちゃんと煮た冬瓜はとても美味しかった。これだよこれ〜と自画自賛する美味しさ。季節のものを食べてるな、と思った。
ご飯を美味しいと思えるのはいいことだ。
原稿が全く進んでいないけれど、生活はできた。それでいい。これがいい。
明日はどうなるかわからないし、不安だなと思いながら冷凍庫を整理しようと思って、開けたらいつかに買ったドデカチョコモナカが入っていた。ラッキー!
あと、長い間放ったらかしにしているんだけど、冷蔵庫の霜がやばいくらい溶けて毎回野菜室を開けると水がすごい漏れる。
どうにかした方がいいんでしょうね〜と思いながら、扉を閉じた。いつか解決するつもりだ。