やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

台風の日の話

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お久しぶり…です…!

自分に課しているわけではないので、のんびり日記を書いていると、どうも何もなかったりそこまで力が発揮できない日がある。ここ三日は天気も悪ければ、心もひっちゃかめっちゃかで何を書いてもウワーッとなりそうだったのでやめていた。

けど、今日は台風が近づいてきているなーと思ったら、色々思い出したのでそのお日記を。

 

実家に住んでいた頃、私の部屋にも兄の部屋にもエアコンがなかった。そもそも、夏も熱中症になることはかなり珍しいことで、窓を網戸にして扇風機一台で乗り切ることが当たり前だったように思う。

私は何歳になるまでかは覚えていないけれど、多分兄が中学生になるくらいまでは、兄の部屋に二段ベッドがあって、兄と二人で夜は寝ていた。

 

そうは言っても、暑いのは暑い。

両親と祖父母の部屋にはエアコンがついていた。あんまり覚えていないが、この人たちは子どもを横目に冷房をつけて眠っていたのではないかと思う。祖父母の部屋は夏、とても涼しい記憶があって、よく乱入しに行っていた記憶がある。祖母か祖父と花札坊主めくり、トランプをするという目的である。あとは涼しいところに避難。

 

けれど、そんな夏でもエアコンのある部屋で眠ることが許される日があった。

それが、台風の日なのである。

台風の日は、窓を開けて寝ることができるはずもなく、母から許可が降りる。一階の客間、こと仏壇の置かれる仏間で寝ることが許されるのだ。

その部屋には床の間もあって、小さい頃から床の間には乗るもんじゃありません!と教育されていたので、今でも床の間を見ると乗りません!と思う。

それと、私が人型をした人形が嫌いなため、なるべくそういったものは置かれていなかったのだが、床の間にはそういう人型をした陶器の人形が置かれている。仏壇、人形。線香の香り。実のところ、全てがちょっと私の苦手なものだった。

 

しかし、背に腹は変えられぬとはよく言ったもので、兄も一緒にその部屋で寝ることになるため、一人よりは怖くはなかった。

部屋の窓を打ちつける雨の音。ゴロゴロと鳴る雷。多分、近くの自販機のゴミ箱か、なにかが道路を転がっているのだろう騒がしい外の音。

いつもとは違う環境で眠りにつく、それだけでなぜかわくわくしていた。あと、涼しい。最高じゃん!と思う。

ただし、タイマーをセットされるので、寝苦しさに目覚めることもある。こっそりと付け直す。

 

私は、今でも雷がとても苦手だ。

大きい音が苦手なのである。扉を閉める大きな音とか、食器が落ちる音とか、とにかく何か大きな音というのが苦手で、雷が嫌いなのは、多分だけれど、小さい頃によく言われる「おへそを取られるぞ!」に起因していると思う。

雷が落ちて、家の電気が停電したことがあった。祖母が言う。「おへそ隠しとるか!?」父も乗っかってくる。「取られるぞ〜」大人って、子どもがイヤーッてなってるの好きだよね。私も好きだけど…。電気が復旧するまで、どうしたらいいかわからない私は、机の下に逃げ込むか、懐中電灯を必死で探すかしか手段がなく、大泣きするしかない。

電気がつくと、確認される。「おへそある?」「アッタァ!!!!(大泣き)」絶対このせいで雷がもっと怖いと私は信じている。

 

台風の日は、外で飼っていた愛犬も玄関先にやって来る。先先代の愛犬であるペスだ。

ペスは、室内に入ることを禁忌として認識していたらしく、玄関先でもえげつないほど落ち着きをなくす。そして、外で飼っていた犬なので、湿気と相まってめちゃくちゃ獣の匂いが充満する。ペスのために玄関に置かれた扇風機がまた、匂いを流すため、くせー!と思っていたが、家の中にいつもは外でしか見れない愛犬がいるのが私はとても嬉しかった。何せ、実はずっと室内犬に憧れていた子どもだからだ。

ペスは室内にいる自分に動揺しているのか、興奮しているのか、常に息が荒かった。体が大きい犬ということもあっただろう。

ペスがいる玄関から、私が眠る客間はすぐ隣にあるのだけれど、ペスの「ハッハッハッ」と異常な息の音に、マジで大丈夫なんか…?と思いつつ布団に転がっていた。

 

台風が来て、学校が休みになるとなんというか、心がフィーバーした。中高生の頃より、小学生の時の方がその興奮度は高く、朝、暗い部屋の中で客間にあるテレビを兄とつけてニュース番組を見る。警報が出ているかどうかを確認するためだ。警報は何時まで出ていると、休みと決まっていて、休みが決まると電話の連絡網でクラスの人に連絡をしていく。

休みだ!そう決まれば、朝の八時半過ぎには、特定のチャンネルで再放送のアニメをそのまま見る。それから、兄と客間を出て、玄関先で興奮するペスに朝の挨拶をして、朝ご飯を食べるのだ。

 

台風の日は、家族が揃っていることが多かった。みんなが家にいて、外もうるさいけれど、家の中も賑やかで、私はそれがなんとなく好きだった。だから、こうして一人で台風をやり過ごすとなると、誰かの家に行きてえなあ。になる。

 

雨は基本的に好きではない。体調も悪くなるし、傘もあんまり意味がないし、出勤するとなると靴は最悪なほどに濡れるし。

でも、小さい頃は怖かったけど、嫌いじゃなかったなーなんて、三連休の真ん中をソシャゲに時間を溶かされながら思い出していたのである。