やわらかい

日々、いろいろ、ほそぼそ

週末の話

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先週末、農家を始めた先輩の家に泊まりに行った。サークルの同窓会のためだったのだけれど、ついでに実家の荷物を片付けるのもかねて。

 

先輩の家は山の近くにあり、通い続けていた喫茶店を後にして行くと、街灯が一つもなく真っ暗で星が綺麗だった。夜十時には眠ってしまう農家の人。私が大学生の頃、色んな遊びを一緒にした人である。

大学生の頃、お願いすると何でもとりあえずしてくれる人だったので私はお腹が空いていて、ご飯食べたいよ〜とおねだりをすると、ありあわせのもので晩御飯を食べさせてくれた。野菜の全てが先輩の作った野菜。べらぼうに美味しかった。

先輩の家は薪ストーブもあって、薪ストーブを前に最近のあれこれ、共通の友人や知り合いのことを話したり、のんびりと過ごした。

薪ストーブはあたたかいのだけれど、とにかく家が寒い。

お風呂を沸かしてくれたのだが、お湯が熱いのか私の身体が冷えているのかわからなくて、熱…!寒…!つま先痛ッ…!だったし、布団は何枚も用意されて、かつ、分厚くて重くて、こんなにいる…?と言って、布団の中に入ったら私の形に盛り上がる形で閉じ込められた。寝返りをうったら、あったまっていない部分に足が触れて冷た!!!!!!!になった。これが正解ってことね…。

部屋は光が一つもなくて、電気を消したら何も見えなくなって私は笑ってしまった。暗闇で笑う私を、先輩は「何笑っとるん」とベッドの上から聞いてきて、いや、目が慣れないほどに暗いので…と言うしかなかった。

 

翌日、先輩は朝五時に起きて、色々と朝の仕事をしていた。私は七時に起きて化粧をして、身なりを整えて、先輩に頼まれた昼食の準備をしたり、飼っているヤギに野菜の葉っぱをあげに行ったり、野菜を買いに来た人と話したり、のんびりと人の到着を待った。

その日、結局集まるのは三十人弱。現役の大学生がそのうち十人弱。すごいな〜と思いつつ、人の到着を待っていたら、一番乗りの人は、前の日記に書いた夏の内緒の遊びをする先輩だった。

 

玄関から、先輩と一緒に到着した車から誰が降りてくるのだろうと見ていたら、その大好きな先輩だったので、大喜びして私は先輩の名前を叫んだ。田舎にこだまする声のでかさに家主の先輩が「声でっか!」と笑っていたが、それくらい私は嬉しかった。

そこから続々と後輩や先輩がやってきて、子ども連れの人たちもいて、久しぶりの後輩は「丸い先輩!?丸い先輩!?」と私を見て興奮する子もいて、誰が来るかを内緒にしていた先輩のサプライズが効いていた。

 

いろんな人たちがいた。

仕事も職種も様々で、住んでいるところもばらばらで、でも、みんなが何かを頑張ったりしていることがよくわかって、元気が出た。

私の同期は二人が参加で、でも、なんだかんだ全員が何をしているか把握していたり、ばらばらで個々に会ったりしていることもわかって、なんだか安心した。一番のOBの人は、市役所勤めの人で、私たちが卒業する時にこう言っていた。

「就活したこともないし、三十歳で初めて仕事にちゃんと就いた。なんとでもなるし、やりたいことをやってれば、やりたい仕事ができるようになるから、勇気を持って生きてくれ」

なんとなく、私はずっとそれを覚えていて、勇気を持ってというのはあながち間違いじゃなかったというか、マジ勇気貰ってたと改めて伝えたら「第二の人生の始まりや」とあっけらかんとしたもので、変わらない人だと、それにも思わず笑みがこぼれた。

 

 

私が会いたかった先輩は、なぜかお土産と一緒に買ってきたマンガを持って来ていた。

それが宝石の国の最新刊であることを確認していた私は、「宝石の国、読んでましたね…」と宴会最中に声をかけると、私の近況について聞いてくれた。

聞けば、その先輩はやはりコミティア常連一般客だったそうで、私がコミティアにも出たりしていることを伝えると、Twitterとかあんの?と聞かれて、や!まだそんな!!と私の悪い癖が出た。自己評価低。肯定感の低さ。わかってもらえるかな、とか、その他もろもろ。

「事後報告はナシやで」それは約束した。

そうして、色々漫画や本の話をしていたら、ぼんやりと、自分は同性だけじゃなくて、異性の人にもやっぱり読んでもらえるような、そういうものがつくりたいな、と思った。漠然とした意識だったけど、こうして話してみないとわからないものもあるんだな、とじんわりと心に熱が広がった感じがした。

 

帰りは、実家が同じ方向のずっとお世話になっている先輩の車に乗って帰った。大学院を卒業した後も、同じ職場で働いていて、私の信頼のおけるとても優しい大好きな人だ。

夜も遅く、眠気が来ないよう帰り道ずっと何かを話していたのだが、急に助手席の前にある棚を開けてみて!と言われて開いたら、アクスタが三つほど収まっていた。めちゃくちゃ笑った。

先輩がハマっていて、紹介されたコンテンツのビバレンというアイドルもののアクスタである。大切に同乗させてもらえている、彼女の推し達。よかったねえ〜と撫でた。

 

その日、実家に帰ると肉体労働もしたからか腰と肩がバキバキで、たくさんの人にも会ったおかげと、笑いすぎで頰の筋肉が痛かった。

よい疲労感。足場を踏み固めるような確認。

 

実家の片付けは、家族のどいつもこいつもが「これはまだ使う」「これはまだ着てる」とコンマリ先生が聞いたら静かに額に青筋を浮かべそうなセリフばかりを口にされ、全員しばきまわしたろかと思いつつ、ひとまず自分の荷物を整理。

 

終わっていないですけどね!本当に大丈夫なのかな、作業スペース確保できる?と怖くなるほどの進まなさ具合だったが、どうにかしてやるぞ…と気合いが逆に入った。

 

生きるって大変だな。そうは思っているけれど、自分のペースが少しずつ戻ってきているのを感じる。慌てることなく、ゆっくりゆっくり。急いては事をなんとやら。

そんな週末を終えて、一人暮らしの家路についている